霜月 四季の茶 茶と季節、そのしつらえを通して茶の湯の基本とさまざまな日本文化との関わりを知り、そして薄茶の点前を習得し茶事を体験します。己月会オリジナルの初心者のためのプログラム「茶楽」。
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十一月/霜月の茶

十一月は、霜が降る月から霜月(しもつき)と呼ばれます。神楽月(かぐらづき)の別名もありますが、茶の湯では、炉を開き、茶壺の口を切り、新しい茶を使いはじめる月とされています。

二十四節気(にじゅうしせっき)では、11月7日頃が「立冬(りっとう)」です。この日から立春の前日までが冬とされます。11月22日頃を、「小雪(しょうせつ)」。2000m以上の山では初冠雪、北国から初雪のニュースが届きはじめる頃ですが、収穫祭などが各地で行われ、冬というよりはまだ晩秋の内といってもいい気候です。

茶の湯ではこの十一月を炉開きの月としています。利休は「柚の色づくのを見て炉を開く」として伝えられていますが、今日では「立冬」を境に風炉から炉に変わるのが一般的です。

万両

霜月の点前

風炉から炉の設えになることで、香は香木から練り香へ、柄杓は炉用の柄杓に、茶碗も厚手のものへなど茶道具もかわります。

茶の湯では、十一月が炉を開き「口切り」が行われる茶人にとっての正月ともいわれる節目の月です。
口切りとは、春に積んだ茶を詰めておいた茶壺の封を切り、新しい茶を使いはじめることで、茶壺から取り出した茶葉を石臼で挽いた新茶で持てなす「口切りの茶事」が行われます。
実際に石臼で挽くことはあまり見られなくなりましたが、茶を挽く石臼の音も茶の風情の一つとして大切にしたいものです。

口切りの茶道具の取り合わせには、(ふくべ 炭斗など)、織部(おりべ 茶碗など)、伊部(いんべ 備前焼き 花入れなど)の三つのべ(三部という)を取りあわせるとされています。


茶壺茶壺:安部宗裕先生の茶室にて撮影
 >>茶の湯と器

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茶楽 其ノ八
茶室の話

日本の美意識のカタチ、茶室

茶室には、一般的な茶道の稽古や茶会を行う炉が切られた広めの和室の他に、茶庭がある庵のような小屋「草庵茶室」と呼ばれるものがあります。この草庵の茶室は、清楚な茶庭(露地)を通り抜け、にじり口という小さな入り口から中に入るようになっています。
にじり口をくぐると、そこは土壁で囲まれた薄暗い狭い部屋になっており、明かりを取り込む障子窓には藤の蔦などがまかれ、天井は低く、仄かに香の香りが….。この独特な空間構成は癒しの力を感じさせてくれます。初めて招かれた人は誰しもが、茶室に入るや否やこれがあの「わび」「さび」かと思い、改めて日本人としての美意識を体感するのではないでしょうか。

しかし、茶の湯ははじめからこのような茶室で行われていたのではなく、草庵の茶室が現れるのは室町時代中期、侘び茶の祖といわれる村田珠光以降のことです。
室町時代には書院づくりと呼ばれる当時の武家屋敷にあった催しの場、会所(かいしょ)とされる座敷で連歌や花の観賞、闘茶や喫茶などが行われていました。今とは異なり茶の湯だけの空間ではなかったのです。
その会所の代表的なものに足利義政が慈照寺(銀閣寺)の東求堂(1485年)に造った書斎「同仁斎」があります。同仁斎は四畳半の畳を敷き詰めた座敷で付書院と棚を備えており、これが草庵茶室の源流ともいわれています。

このように茶の湯は、そもそも武家の格式ある書院の中の座敷で行われていましたが、珠光により茶の湯専門の茶座敷に変わり、この四畳半の小座敷が、京の市中に草庵風の茶屋として立てられるようになります。これが茶室の建築的表現のはじまりで数寄屋造りの源流になったのです。やがてこの数奇というスタイルが堺の裕福な町人たちの中で「市中の山居(街の中にある田舎屋、または山里の庵)」として流行し、利休の頃に草庵の茶室のスタイルが完成されます。
その究極とも言われるのが、茶席ニ畳、次の間と勝手の間を含む全体の広さが四畳半大という、妙喜庵(みょうきあん)の茶室「待庵(たいあん)国宝」です。その趣向は数寄屋造りとして日本の建築様式に、露地は日本庭園に大きな影響を与えていきます。

その後、江戸時代の武将古田織部、小堀遠州などによる武家の格式を持つ書院風茶室などが現れ、明治期に入ってからは、実業家で茶人としても有名な益田鈍翁、原三渓などが近代の新たな発想を加え庵を立てています。

このように茶室は、時代の数奇者の個性とその時代を反映する日本の美意識の集積ともいえるものなのです。 現在ではホテルやマンションに設けられた茶室が多くあり、市中の山居の極みであるとも捉えることができますが、もしそうであれば、つくろいや一過性なものではなく、その中に日本の美意識の継承として未来に伝えられる茶室があってほしいものです。

2012.10 2018.10 2019.9加筆 佐藤宗雄

十一月の稽古 持てなし-1
茶席の禅語 他不是吾(たはこれわれにあらず)
他の人にしてもらっては、自分でやったことにはならない。
思った通りに、心を込めて、自分自身で行うこと。

話:持てなしについて1
1.「持てなされる」こととは
2.待ち合い、本席での持てなし
3.茶の出し方

霜月の茶碗 銘:月影 So-U作
静けさと落ち着きを感じさせる黒茶碗でどうぞ!
手にすっぽりと収まる鉄鉢形の茶碗です。

霜月の抹茶碗
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