茶席の禅語

吟風一様松
かぜにぎんず いちようのまつ

泣露千般草(つゆになくせんぱんのくさ) 吟風一様松 と続く禅僧 寒山の詩。通年使われる禅語である。

露に濡れる様々な草花、松が風に吹かれて葉が歌ってる...多くの場合、露を秋としているが、私は5月の朝露と捉える。生い茂る様々な草花、そして対照的な老松の風情、自然が奏でる情景や生命の息吹に目を向ければ、それぞれの生き方があり、そこにそれぞれが共に生きる道がある。松風が草花の生命の音となる。

茶席/茶事で用いる場合は、互いの違いを認め、それぞれの良さが溶け合う風情を味わい、心通わせるひと時のための軸として私は用いてる。

自作の茶碗もこの禅語をイメージして、次のようなメッセージを込めて創作した。

抹茶碗 銘「松風」2018 sato So-U
size H:88mm W:115mm

抹茶碗 松風

茶の湯の器 佐藤 宗雄作品集
心に届けるメッセージ「こころの時間3」より

五感で 味わえば
こころが 主役になれる 

耳をすませば 葉擦れの音
立ち止まれば 風の香り
見上げれば 眩い光

季節の移ろいを 肌で感じれば 
いまが 特別になる

ありきたりの 毎日が 
かけがえのない 
一日になっていく

陽の傾きに 時の過るを見て
釜の湯音に 季節を味わい
松の梢をわたる風に 今を知る

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茶席の禅語一覧 禅語12ヶ月

睦月一座建立
いちざこんりゅう
和気兆豊年
わき ほうねんを きざす
⻘松多寿色
せいしょうじゅしょくおおし
如月掬水月在手
みずをすくえばつきはてにあり
梅花和雪⾹
ばいか ゆきにわして かんばし
雪裏梅華
せつりのばいか
弥生一花開天下春
いっかひらいて てんかのはる
百花為誰開
ひゃっかたがためにひらく
春色無高下
しゅんしょく こうげ なし
卯月一華開五葉
いっか ごように ひらく
弄花香満衣
はなをろうすればこうえにみつ
柳緑花紅
やなぎはみどりはなはくれない
皐月薫風自南来
くんぷうみなみよりきたる
吟風一様松
かぜにぎんずいちようのまつ
青山緑水
せいざんりょくすい
水無月清流無間断
せいりゅうかんだんなし
雨後青山青転青
うごせいざんあおしうたたあおし
水滴々
みずてきてき
文月瀧 直下三千丈
たき ちょっかさんぜんじょう
雲悠々水潺々
くもゆうゆうみずせんせん
清寥寥白的的
せいりょうりょうはくてきてき
葉月行雲流水
こううんりゅうすい
澗水湛如藍
かんすいたたえてあいのごとし
山是山水是水
やまこれやま みずこれみず
長月中有風露香
なかに ふうろの かおり あり
萬⾥無⽚雲
ばんりへんうんなし
昨夜一声雁
さくやいっせいのかり
神無月吾⼼似秋⽉
わがこころ しゅうげつににたり
吾唯足知
われただたるをしる
直⼼是道場
じきしんこれどうじょう
霜月他不是吾
たはこれわれにあらず
楓葉経霜紅
ふうようしもをへてくれないなり
開門落葉多
もんをひらけばらくようおおし
師走看々臘⽉尽
みよみよ ろうげつ つく
紅爐⼀点雪
こうろじょういってんのゆき
庭寒月色深
にわさむくしてげっしょくふかし
茶の湯 学びのガイドブック「茶、こころの時間: 茶の湯二十四節気」著 佐藤宗雄より、抜粋編纂

記 2025年9月 追記11月

茶の湯 二十四節気 学びのハンドブック「茶、こころの時間(改訂版)」Tea for Mind

茶の湯 二十四節気 学びのハンドブック
ペーパーバック
2021.12
茶、こころの時間(改訂版)
著:佐藤 宗雄

香道、華道、能などの日本文化と茶の湯の関わりをはじめ、二十四節気の茶の湯のしつらえと持て成しを、抹茶碗や茶入れなどの写真入りで分かりやすく解説。月々の点前にはメモページもあり稽古の整理や指導にも活用できます。

こころの時間Vol.5

-peace of mind-こころに届ける51の詩 Vol.5 2025.11
『こころの時間5』
著:佐藤 宗雄

著者自ら作陶した抹茶茶碗、茶入、水指、花入などのオリジナリティ溢れる茶の湯の器(Raku-Ceramicart)の作品と、それらの「銘」に託したこころへのメッセージで構成される、禅的アプローチの新たなアートブックです。

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